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名古屋高等裁判所 平成7年(行コ)2号 判決 1996年3月28日

名古屋市西区城西四丁目二八番三号

控訴人

松永尚市

右訴訟代理人弁護士

浅井得次

名古屋市西区押切二丁目七番二一号

被控訴人

名古屋西税務署長 横井毅

右指定代理人

加藤裕

藤居正樹

木村勝紀

小田嶋範幸

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一控訴の趣旨

一  原判決を取り消す。

二  被控訴人が控訴人に対し昭和五三年二月九日付けでした控訴人の昭和四八年分以降の所得税の青色申告の承認取消処分を取り消す。

三  被控訴人が控訴人に対し昭和五三年四月三日付けでした控訴人の昭和四八年分の所得税の更正のうち総所得金額二四五五万五三七七円、納付すべき税額八九四万四五〇〇円を超える部分並びに過少申告加算税及び重加算税の賦課決定(いずれも昭和五三年九月二〇日付けでした変更決定により減額された後の部分)を取り消す。

四  被控訴人が控訴人に対し昭和五三年四月三日付けでした控訴人の昭和四九年分の所得税の更正のうち総所得金額三二五一万三五三八円、納付すべき税額一二三一万九九〇〇円を超える部分並びに過少申告加算税及び重加算税の賦課決定(いずれも平成二年九月一〇日付けでした審査裁決により減額された後の部分)を取り消す。

五  被控訴人が控訴人に対し昭和五三年四月三日付けでした控訴人の昭和五〇年分の所得税の更正のうち総所得金額二三九三万〇九〇五円、納付すべき税額七一一万〇五〇〇円を超える部分並びに過少申告加算税及び重加算税の賦課決定(いずれも昭和五三年九月二〇日付けでした変更決定により減額された後の部分)を取り消す。

六  被控訴人が控訴人に対し昭和五四年六月一一日付けでした控訴人の昭和五一年分の所得税の更正のうち総所得金額二五一九万七六四二円、納付すべき税額七一九万四八〇〇円を超える部分及び重加算税の賦課決定を取り消す。

七  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

第二事案の概要

本件は、パチンコ店や焼肉店を経営する控訴人が、昭和四八年分ないし同五一年分の所得税について、確定申告及び修正申告をしたところ、被控訴人が右各青色申告の承認を取り消し、控訴人の総所得金額及び納付すべき税額を更正し、過少申告加算税及び重加算税の賦課決定をしたことに対し、控訴人は右各処分は違法であるとして、被控訴人に対しその取消しを求めた事案であり、原判決は控訴人の請求をいずれも棄却した。

一  当事者双方の主張は、次のとおり加除・訂正する外は、原判決の事実欄「第二 当事者の主張」に記載したとおりであるから、これを引用する。

1  原判決五ページ二行目「一ないし四」を「一ないし三」と改める。

2  同七行目「昭和四九年分及び」を「昭和四八年分ないし」と改める。

3  同六ページ二行目「名古屋」を削る。

4  同二九ページ三行目「四一一万六六六一円」を「四一一六万六六六一円」と改める。

5  同三五ページ五行目「訴外」の次に「税理士」を加える。

二  証拠は原審及び当審の各記録の証拠関係目録に記載のとおりである。

第三当裁判所の判断

一  当裁判所も控訴人の請求はいずれも棄却すべきものと判断するが、その理由は、次のとおり加除・訂正する外は、原判決の理由欄「一」ないし「八」に記載のとおりであるから、これを引用する。

1  原判決四四ページ一行目「三、」を削り、「八」の次に「、九」を加える。

2  同四六ページ七行目「三、」を削り、同「八ないし一一」を「八、九、一一」と改める。

3  同四八ページ五行目「からして、」の次に「昭和四八年一〇月以前にも売上除外がされていたものであり、」を加える。

4  同四九ページ五行目「ばかりでなく」の次に「(甲第二〇号証では配当率は一割である旨の控訴人の供述記載がある。)」を加える。

5  同五〇ページ三行目「五」を「五の一ないし九」と改める。

6  同五行目「認められ、」の次に「昭和四八年中に支払う特別慰労金であることを認めるに足りる証拠はなく、」を加える。

7  同一一行目及び一二行目を次のとおり改める。

「控訴人が主張する減価償却費は、甲一によれば本町苑店舗の建物の減価償却費であって、控訴人は、右建物の収去土地明渡請求訴訟において昭和五三年一一月一三日に成立した和解に利害関係人として参加し、右建物の収去及び土地明渡しを約している事実(甲七)からしても控訴人の所有の事実は明らかであると主張するけれども、甲一及び弁論の全趣旨によれば、控訴人は右建物所有の事実を審査請求において初めて主張したものであること、控訴人は右建物所有の事実を立証するなんらの資料を提出しないこと、甲七によれば、土地所有者酒井美代治が提起した前記建物収去土地明渡請求訴訟において被告とされたのは控訴人ではなく豊永商事株式会社(代表取締役松永豊治)及び松永豊治こと趙淵渙であり、右両名も前記和解において前記建物の収去及び土地明渡しを約していることなどの事実に照らすと、控訴人が右建物の所有者ではなかったものと認められるから、控訴人主張の減価償却費は本町苑の必要経費とは認められない。」

8  同五三ページ五行目「そして、」の次に「昭和四九年一二月七日以降、」を加える。

9  同五四ページ二行目から同三行目にかけての「記載のとおり」を「の賞与支払額欄記載のとおり、堀内が除外金を一旦北伊勢信用金庫中部支店に開設した架空の梶原和豊名義の普通預金口座に預け入れ、控訴人が来訪の都度、引き出した合計」と改める。

10  同五八ページ二行目冒頭から同五行目末尾までを、次のとおり改める。

「荒田の証人調書(甲一九)には、荒田は昭和四九年二月頃に控訴人からマツナガ機工のパチンコ玉自動補給装置の九州における販路拡張の委託を受け、控訴人から同月頃に現金二〇万円を受け取り、その後に二〇〇万円の送金を受けたとの供述記載があるが、右委託の具体的内容や送金の時期及び振込先の金融機関が明らかでなく、これを裏付ける客観的資料はないし、右荒田供述によると販売実績は皆無であるとされるなど、信ぴょう性に欠ける供述内容であるから、到底信用できず、必要経費としての右二二〇万円は認められないし、同様に旅費・宿泊費及び控訴人の出張費用についても認められない。」

11  同五九ページ一二行目「六九一一万二八〇六円」を「被控訴人の主張のとおり、七一四二万二八〇六円」と改める。

12  同六〇ページ五行目「記載」を「の賞与支払額欄記載」と改め、六行目「認められる」の次に「(なお、別表七のとおり同年中の売上除外額の合計は一六〇〇万円であって、右一六六〇万六五一一円を下回っているが、これは、売上除外金がいったん預金とされていた梶原和豊名義の口座の昭和五〇年期首残高六〇万円及び同年中の簿外利息六五一一円が加わっている(乙三)ためである。)」を加える。

13  同六五ページ二行目「三〇」の次に「(弁論の全趣旨により成立を認める。)」と、「三九の一」の次に「文書の趣旨及び方式により公務員作成の公文書と認める。)」と、それぞれ加える。

14  同七五ページ四行目「四日市税務署」を「四日市税務署長」と改める。

二  よって、控訴人の請求を棄却した原判決は相当であり、本件控訴はいずれも理由がないので、これを棄却することとして、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 稲守孝夫 裁判官 小松峻 裁判官 松永眞明)

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